村山斉著『宇宙は何でできているのか』
5月6日(金)、連休明けの平日。私はまだ「社会復帰」していません。曇りでしたが、そほど気温は下がらず過ごしやすい一日でした。ここのところ、体調が思わしくない。まあ、半世紀も生きてくれば、身体に具合の悪いところが出てきても仕方あるまい。でも、原因がわからないと、気持ち悪い。午前中、近くの病院へ行くことにした。2年前にも来たことのある、少し大きな病院である。待合室はお年寄りばかりだ。いま自分は「高齢社会」に生きていることを否応なしに実感させられた。
この世に存在するあらゆる物質には、何か共通の「素」があるはずだ。古代ギリシャの時代においては「哲学」のテーマであったが、現在は「素粒子物理学」のテーマになっている。「ビッグバン宇宙論」によれば、宇宙は誕生直後から徐々に膨張して、いまのサイズになっている。宇宙の歴史を遡れば、そのサイズはどんどん小さくなっていく。ビッグバン直後の宇宙は、それ以上は小さくできないほど小さなものだった。「素粒子の世界」である。したがって「物質の根源」を知るということは「宇宙の起源」を知るということになるというわけです。
人はなぜか「根源」を知りたがる。養老孟司氏によれば、それは「意識」によるということになる。「意識」は「同じという強いはたらき」である。そこで、物理学者はこう考えます。
……重力、電磁気力、強い力、弱い力。私たち物理学者は、自然界に存在するこの4つの力を、たった1つの原理で説明したいと考えています。「それぞれ別々に説明できればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、物理学者はそうは考えません。自然界の根本にはシンプルな法則が存在し、すべてそれにしたがって動いているはずだという信念があるからです。……
新しい理論は実験で証明される。実験から新しい「謎」が生まれる。「謎」のままだと「気持ち悪い」から何とか説明しようとし、また新しい理論を考える。こうやって「根本」に近づいていこうとする。これが「意識」のはたらきか。こんな「謎」が書いてありました。
……つい最近になって、宇宙の膨張が「加速」していることがわかりました。これも、私たちの宇宙観を根底から変えてしまった事実の1つです。そうだとすると、「投げたボール」を透明人間のような何者かが後ろから押しているとしか考えられません。その「何者か」が、暗黒エネルギーだと考えられています。宇宙という「箱」がいくら大きくなっても薄まらずに、その膨張をぐいぐい後押しする謎のエネルギー。そんな得体の知れないものが、宇宙の7割以上を占めているのです。……
病院の臭いというのは、あまり好きになれない。連休明けということで、かなり混んでいる。まあ、しかたがない。本でも読もう。「宇宙の起源」へ思いをめぐらせれば待ち時間など一瞬にもならないはずだ。そうはいっても、やはり不安が頭をもたげてくる。謎があると落ち着かない。かなり待たされた後で診察をうけたが、「様子をみましょう」という医者の一言で私は科学の限界を悟った。私の身体は「暗黒エネルギー」によって支配されているのである。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『プラグマティズムの作法』藤井聡著(2012.05.06)
- 『第四の消費』三浦展著(2012.05.04)
- 『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる言葉』小林公夫著(2012.05.02)
- 『日本の文脈』内田樹・中沢新一(2012.05.01)
- 『瓦礫の中から言葉を』辺見庸著(2012.04.25)


コメント